Red Beat Diary

Yahooブログから引っ越してきました。よろしくお願いします。

ショートショート 『スクラッチ占い』

 
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「ねぇねぇ。 占い やって行こうよ!」
 
「ん? どこに占いなんか ある?」
 
「ちゃんと ココに あるじゃ~~ん♪」
 
 
俺は大学3年生。そろそろ就活 考えなきゃな~ と思っているどこにでもいる普通の大学生だ。
 
「ええ~? でも此処って。。。」
 
突然 『占い』 なんて言い出したのは 俺と同じゼミの女の子。
ショートが似合う活発なコで・・・とにかくゼミの中では一番気になる存在。はっきり言えば惚れてるのかな。
片思いである事には間違いないのだけれど・・・まぁ 自分が好意を持つ異性とは 得てしてそう見えるものなのかもしれないが、とにかくカワイイ。
 
「今日のゼミが終わったら、今度のレポートの資料探しに行くから、本屋につきあってくんない?」
と誘ってみたら、あっさり「いいよっ!」って。。。
 
 
「ココって宝くじ売り場・・・だよっ?」
 
「そーだよ 宝くじ。 これが『占い』。 言い出しっぺだから 今日は あたしが出してあげる。」
そう言いながら彼女は、鞄から財布を取り出していた。
 
「はあっ? 占いって。。。 まぁ いいけど で、 何を占ってもらうんだい?」
 
すでに千円札を1枚手にした彼女は、宝くじ売り場のおばさんに こう切り出した。
「占い師さん 私たちの今後を占ってみてくださいな。」
1枚200円のいわゆる「スクラッチ」の宝くじを指差し、
「5回分 お願いしま~す。」と にこやかに笑ってみせた。
 
「スクラッチ」はご存知の通り、コインで削ってその場で当たる とゆう宝くじ。
ん?ちょっと待てよ。。。この宝くじで占うのは「僕らの今後」だって?
 
「おれらの今後を占うって どうゆーこと?」
 
「だから そーゆーことよっ!」
やはり・・・
 
「じゃぁ 1等が出たら どうゆうことなの?」
ちょっとだけ期待しながら聞いてみた。
 
「そりゃ~ 初めてで こんなスゴイ確率のものが出るってことは もう運命的な出会い ってことじゃない?」
 
普通そう考えるよね。。。
「ふ~ん 出た当りの等数で おれらの今後を占うってわけか~・・・」
 
「そうそう♪」
 
「じゃぁさ びみょ~なとこは どう考えるのかな? たとえば5等の200円が当りとか・・・」
 
「それは やっぱり 『 びみょ~ 』 なんじゃなぃ?」
それは解っていますとも。。。
 
「それよりも~・・・」
「宝くじって10枚に1枚はその 『 5等 』 が入ってるわけで~。」
 
「うん わかってるよ。」
 
「だから 5枚にしたの!」
それは薄々感じていましたよ。 と心の中でつぶやいた。
 
「じゃあ 5等も出ない可能性もあるんだね。」
 
「そっ!」
 
「ハズレ・・・」
 
「そっ!」
 
「まったくの ハズレ・・・か。。。」
そう呟いた時の おいらの顔は彼女にどう写ったのだろう。
 
しかし 彼女の笑みにはどうも違和感があった。
「こうも考えられるわよ。 今が何にも無しの 『ハズレ』。 救いようが無い、これ以上堕ちようが無い状態。」
 
彼女のトーンが少し変わる。
「だから 後は上(のぼ)るしかないわけ。 次の機会に5等が出たらそれだけで大喜びだね。
人の一生も同じなんじゃないかな。 普段は何も無い 『ハズレ』 なのよ。でも・・・
だからこそ、当りを引いた時、一つ上にあがれた時に喜びを感じれるんじゃなぃ?人生なんて1,000円払って、損をしてると知りながら200円の当りの喜びをかみしめているのよ。たまには幸運な人が100万円を引き当てたりするけどね。。。」
 
「ふ~ん そんなもんかな・・・」
 
少しは解っていた。 当りの人生なんて そう簡単には手に入らない。
普通に就職して、普通に結婚して、子供を授かり・・・
ましてや今の世の中、家を建て、60で定年退職して年金生活、75で生涯をまっとうすることすら実現しそうに無い不安と寂しさを感じる。
でも彼女の言葉から 「ハズレの人生もまんざらではないのかも。がんばって生きていけば ささやかな当りの1、2回くらいは引き当てることができるはずだ。それを幸せに感じる瞬間を得るだけでも、人生捨てたもんじゃないと思えるかな。」と感じ、平和ボケして活性することを停止した俺の脳みそが、ちょっとだけ覚醒した気がするのは気のせいだろうか。
 
「さ~てと じゃぁそろそろ 『(人生の)スクラッチ』 といきますか。」
 
彼女はああ言ったけど、それでもやっぱり俺は・・・
1等を引き当てたい。
彼女のためにも。そして・・・俺のためにも。。。
 
 
 
by JugglerTatsu
 
 
※ またまたミッドナイトにこんなものを更新してしまいました。<(_ _)>
  ってか夜中じゃないと恥ずかしくて書けないですね。
  明日の朝、読み直してみたら、削除するかもしれませんが・・・( ̄▼ ̄;アハハハ.....
  ファン限定にしておきます。^^